COLUMN

コラム

情シス業務の手間をどう減らすべきか

■情報システム部門のお仕事
 
いまの企業の根幹を担うのが、IT(情報技術)や情報システムです。PCのないオフィス業務など考えられませんし、経理・人事・給与などのパッケージシステム、さらに企業の四半期決算や在庫管理、売上・販売管理なども紙+手作業ではなく情報システムで管理する時代です。さらに、目に見えないところでもITや情報システムは存在します。組み込みシステムやIoT(Internet of Things)とも呼ばれるものです。これらのシステムを保守・運用しているのが「情報システム部門」です。
情報システム部門は、自社システムの運用、トラブルが発生したときの対応、手間がかかるセキュリティの事前対処、情報システムを実際に使っている各部門とのコミュニケーションや問い合わせの対応、さらに新しいシステムが導入されれば、そのマニュアルや取り扱い説明書の作成、トラブルシューティングなどを行います。
例えば、「キッティング」という作業があります。メーカーから届いてすぐのパソコンでは、メールチェックや予定表の確認、業務システムを立ち上げるなど、何もできない状態です。そのパソコンに、ソフトのインストールや環境設定などを行い、業務システムを設定し、社員が作業できるようにするのが「キッティング」です。
つまり情報システム部門(略して情シス)は、企業や会社で使用する情報システム、PC、ネットワークなどを管理・運用する、ITのなんでも屋です。
 
■年々IT人材は不足している
 
少し話は変わりますが、経済産業省の発表データ(IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 2016年)では、「我が国の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回る」と言われています。つまり、年々エンジニアが減っていき、年を経るにつれエンジニア自身も高齢化することが見込まれています。


経済産業省 IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s02_00.pdf
 

経済産業省:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 引用

当然、ITベンダーだけでなく自社のITシステムに関わる人材も減少していくことが想定されています。ITの浸透は進んでいくのに、それに関与する人やサポートするエンジニアは減少し、高齢化が進むという時代が来ています。

■情報システム部門の現状
 
年々エンジニアが減りつつある状況は、当然、企業のITのプロである情報システム部門にも影響しています。近年、「ひとり情シス」という流行したワードがありました。ひとり情シスは、多種多様な情報システムの管理・運用をたったひとりで行っているひとや状態のことを意味します。全社員のPCやタブレットのキッティング、ネットワーク機器の選定・購入・調整もひとり、新しいシステムの導入だけでなく、ベンダーとのやりとりや各種の交渉、受け入れテストやマニュアル作成もひとり、導入後の問い合わせ対応も当然ひとり。精神的にも、肉体的にも負担がかかります。では、「ふたり情シス」になれば大丈夫かというと、作業量を考えるとそれでも足りないでしょう。特に、人の異動が発生する時期には、社員に紐づくPCや情報システムの変更が発生します。それも異動または期限までに確実に行わなくてはいけません。考えてみてください。新しい会社に入社した時、自分のメールアドレスがなかったり、共有のPCしかなかったり、さらには入退勤を自分だけ紙で行ったりした場合、「自分はこの会社に勤めてよかったのだろうか」と不安になりませんか。その不安をなくすためには、しっかりとした情報システム部門が必要であるにも関わらず、現在、その人材不足や高齢化が懸念となっています。
 

■エンジニア不足への対策
 
このような、マクロ的にはITエンジニアの全体的な不足、そしてAIやクラウドなどの新技術の導入、ミクロ的には自社のIT人材の不足や新技術の取り込み(に対処するためのエンジニアの確保や教育)の対応としては、どのような方法があるのでしょうか。様々な意見や情報を分析すると、大枠で3つの方法が挙げられます。
 
 ①AIの活用
 ②自社の人材へのIT教育や底上げ
 ③作業のアウトソーシング
 
①は、AIを導入し使いこなすためには、AI自体の設定が必要になります。そのため、AIのスペシャリストの確保や育成に費用と時間がかかります。②の自社のIT要員やエンジニアの確保や教育、つまりIT人材化も時間がかかります。そして、近年注目を浴びているのが、③に挙げた「作業のアウトソーシング」という選択肢です。
 
 
■アウトソーシングのメリットとデメリット
 
アウトソーシング(Outsourcing)は、日本語で言うと「外部委託」。作業や業務の一部を自社以外の外部企業に委託することです。自社の業務を外部に委託することに抵抗がある方も多いかもしれませんが、限られた自社の人材を本業に集中させ、外部のリソースを有効活用する戦略的な手段の一つです。例えば、国が行ったコロナ対応の問い合わせコールセンターなどは典型的なアウトソーシングです。郵便局でも一部の配送を一般事業者に委託したり、全国約24,000の郵便局のうち約3,500局は簡易郵便局として業務委託の形態で運営されています。これもアウトソーシングです。
IT人材不足に対しても、工数が非常に多くかかるキッティングなどを外部に委託(外注)することで、数少ない自社リソースをより戦略的な業務や主力となる業務に集中させることが可能になります。それこそ、前述した「AI活用」の試行や人材のエンジニア教育に割り振っても良いかもしれません。
また、目に見えないメリットとしては、専門性を必要とするが本業ではないIT関連業務を、安心できる本職に外注できるため、社員にとって本業以外の雑務で手を煩わせることがなくなり、モチベーションの低下を防ぐことが可能となります。また、プロへの作業委託になるため、作業の品質や生産性の向上も見込まれます。
アウトソーシングのデメリットとしてよく言われることは「自社にノウハウが蓄積されない」「柔軟な対応が難しい」などがあります。逆に考えると、「ノウハウがすでにある業務」や「柔軟な対応を必要としない固定の作業」を外注すれば良いということではないでしょうか。前述した「キッティング」などは、社員やアルバイトの入社、異動時期に作業が集中することが多いため、年度契約ではなく作業量に応じて「キッティング代行」を外注するという方法もあります。
 
 
■情シス支援を考える時期は今
 
いま、企業においてITや情報システムは必須のものであり、情報システムなしで業務を行うのは難しい時代となっています。そのため、情報システム部門が組織にとって重要であり、企業経営に密着するものとなっています。しかし、この情報システム部門の仕事は多岐で多様で多忙です。その負荷を少しでも軽減し、会社にとってより重要な役割を担い、そのための作業を行うようにするのは会社の責務といえます。企業のITなんでも屋から脱却し、より高度な業務を担い、それ以外の業務にITを活用したり、情シス代行に外注したりするのも未来の情シスの形といえるかもしれません。

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